1983 年 33 巻 179 号 p. 185-192
クロム鉄鉱は鉱石鉱物の中で,もっとも高い硬度(VHN),比較的低い反射率をもつ鉱石鉱物である.クロム鉄鉱の理想化学式はR2+OR3+2O3で示されるが,天然産のクロム鉄鉱はCrとAlとが相互に顕著な置換を行なう.この置換の程度は本鉱物の硬度または反射率に反映されるものと思われる,そこで収集したクロム鉄鉱のEPMA分析が最初に行なわれた.反射率の測定にはライツMPVコンパクト顕微光度計が,微小硬度の測定にはライツ微小硬度計がそれぞれ使用された.
Podiform型クロム鉱床のクロム鉄鉱は北海道日高地方,西南日本の中国・四国地方およびトルコのFethiye鉱山から収集された.一方Stratiform型鉱床のクロム鉄鉱はBushveld層状岩体のMerensky Reefのものが用意された.
本論ではこれらのクロム鉄鉱の反射率,硬度,化学性が総合的に議論され,結論として3者間に興味ある相関のあることが見出された.