鉱山地質
Print ISSN : 0026-5209
中国大陸東南部の鉱脈型タングステン鉱床の概要
丁 武宝
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1983 年 33 巻 181 号 p. 337-345

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抄録

環太平洋帯には世界の主なタングステン鉱床生成区が含まれている.それらは,太平洋プレート緑辺部でのプレート沈み込み過程に関係しているらしく,互いに多くの類似性を有している.しかしながら,それらの鉱床型式は生成環境の相違を反映してさまざまである.中国のタングステン鉱床をもたらした地質環境は,世界の他地域にも存在している可能性があり,その詳細な記載は探鉱にとって有用であろう.
中国のタングステン鉱床は大陸の東南縁辺部に鉱脈型鉱床として濃集している.それらの鉱床は,形態・構造・鉱物の垂直的累帯配列の様式などに関して,特徴的な"五階建て"構造型式を呈している.鉱床はさまざまな時代の花崗岩に伴っているが,最も重要なのはYanshanian期(76~150Ma)の花崗岩活動である.タングステンを含むマグマはおそらく沈み込んだプレートの部分溶融に由来したものと思われるが,堆積岩類もまた鉱床の所在を支配している可能性がある.大陸境界部には,著しい隆起と相対的に若い花崗岩類の貫入が見られる.これらは中国東南部でのタングステン鉱床を探鉱する上で基本的な条件となる.

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