鉱山地質
Print ISSN : 0026-5209
串木野鉱山・荒川4号脈の鉱化作用
武内 浩一鹿園 直建
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1984 年 34 巻 185 号 p. 187-195

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抄録

串木野鉱山・荒川4号脈の鉱化作用は,早期から晩期にかけて,第I期(不毛石英―方解石期),第II期(高品位"銀黒"期―ポリバス鉱,エレクトラム,黄鉄鉱,含銀四面銅鉱―),第III期(角礫化石英―方解石―粘土期),第IV期(縞状"銀黒"期―ポリバス鉱,エレクトラム,黄鉄鉱―)という4つの鉱化期にわけられる.第II期は,前期のIIa(ポリバス鉱,黄鉄鉱),後期のIIb(エレクトラム,ポリバス鉱,黄鉄鉱,閃亜鉛鉱,黄銅鉱)にわけられる.エレクトラム,含銀四面銅鉱の鉱化期を通じての組成変化はほとんどみられないが,早期から晩期にかけて,閃亜鉛鉱中のFeS含有量は減少し,ポリパス鉱,Ag-Se-S系鉱物中のSe含有量は増加していく.流体包有物の充填温度は,後期になる程若干低くなる.つまり,第I期:240-200℃,第II期:240-180℃,第IV期:220-170℃という結果が得られた.閃亜鉛鉱中のFeS含有量と充填温度から,硫黄分圧は,10-11-10-13atm.と推定される.ポリバス鉱と,Ag-Se-S系鉱物中のSe含有量の変化は,酸化的環境(酸化硫黄種卓越領域)における温度降下で説明が可能である.

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