鉱山地質
Print ISSN : 0026-5209
飛騨帯と韓国のジュラ紀花崗岩類の比較研究
津末 昭生代 開秋水田 敏夫玉井 忠治
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1990 年 40 巻 224 号 p. 365-384

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抄録

飛騨帯および韓国のジュラ紀花崗岩類に関するデータがある程度蓄積された.これらのデータから両地域のジュラ紀花崗岩類の類似点と相違点が明らかになった.(1)両地域におけるジュラ紀花崗岩類のモード組成は類似しているが,(2)両地域における花崗岩類の同位体年代系(磁鉄鉱系・チタン鉄鉱系のような系),ストンチウム初期値,およびREEパターンは異なる.これらの事実は両地域におけるジュラ紀花崗岩類の原物質と成因が
異なることを示すものであろう.REEパターンから韓国のジュラ紀花崗岩類は地殻下部の物質の部分溶融あるいは石英閃緑岩質マグマから角閃石が分別結晶作用を行って生成したものと考えられる.それに対し飛騨のジュラ紀花崗岩類はその場で分別結晶作用を行ったものと思われる.両地域の花崗岩類のストロンチウム初期値の違いから,韓国のジュラ紀花崗岩類は飛騨帯のジュラ紀花崗岩類より大陸側にあったものと考えられる.

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