資源地質
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イオン交換法によるCaSiO3-FeSiO3-MnSiO3-(Ca,Fe,Mn)CL2-H2O系の600℃,1kbarにおける相平衡実験
荻野 厚内田 悦生角田 康嗣今井 直哉
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1992 年 42 巻 232 号 p. 119-129

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抄録

1kbar,600℃の条件下におけるCaSiO3-FeSiO3-MnSiO3系鉱物の安定関係をイオン交換法を用いた実験により求めた.陽イオンCa2+,Fe2+,Mn2+の移動媒体として1mol/lの塩化物水溶液を使用した.実験条件下で安定な鉱物は珪灰石,バスタム石-鉄バスタム石固溶体,ヘデン輝石,パイロクスマンガン石,バラ輝石と鉄カンラン石+石英である.フェロシライトは実験条件下では不安定であり,鉄カンラン石+石英の組み合わせに分解する.バスタム石は,CaSiO3とMnSiO3を結ぶ線に沿って広い安定領域を持ち,また,鉄バスタム石と連続固溶体を形成する.パイロクスマンガン石およびバラ輝石はFeSiO3とMnSiO3を結ぶ線に平行な広い安定領域を持つ.実験条件下では,ヘデン輝石+バスタム石+鉄カンラン石+石英とバスタム石+パイロクスマンガン石+鉄カンラン石+石英の鉱物組み合わせが安定であることが確認された.全体的に見て二価の鉄およびマンガンイオンはカルシウムイオンに比べて固相中に入りやすい傾向を示した.

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