資源と素材
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論文
電気炉ダストリサイクリングのための炭材によるサブミクロン粒子の吸着特性
赤江 宣勇上杉 浩之嶋田 太平高橋 礼二郎秋山 友宏
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2002 年 118 巻 2 号 p. 95-100

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抄録

鉄や亜鉛の金属を含有する電気炉ダストのリサイクルは十分ではない。現在電気炉ダストは冷却され回収されている。回収後のダストは半分が再加熱され,残りは廃棄処分され,エネルギーや環境問題となっている。したがって,JRCM より提案された炭材フィルタを用いる新しい処理プロセスが基礎的に研究された。主にフィルタ充填物を決定するために種々の炭化物が検討された。冷間実験において6 種類の炭化物を用い模擬電気炉ダストの吸着特性を調べた。その試料を平均粒子径300 nm の粒子が浮遊する流体中に吊し,天秤で吸着による重量変化を測定した。その結果,1) 重量増加は試料の違いに強く依存した。興味深いことにBET 比表面積が最大のRDF 炭化物は吸着量も最大で,BET 比表面積が最小の黒鉛は吸着量も最小であった。2) サブミクロン粒子の吸着は試料表面ではなく試料内部で生じた。3)BET 比表面積が大きく1 ~ 10μm の細孔径をもつ多孔質体が電気炉ダスト捕集に有効である。換言すれば、粒子捕集のための細孔は粒子より1 オーダー大きいサイズが有効的である。パイロットプラントで用いられたコークスのSEM 写真も結論の妥当性を示唆した。

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© 2002 by The Mining and Materials Processing Institute of Japan
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