日本鑛業會誌
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浮選用起泡劑としての杉根油に就て
杉山 爲吉
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1945 年 61 巻 717-718 号 p. 26-40

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抄録

浮鑛油の不足對策として, 筆著は杉根株より得られる杉根油に着目し, 之が研究を試みた。杉根油は杉根株を水蒸氣蒸溜により作りしものにして, 之と同油を硫酸處理せし碗酸塵理油との二者につき, その有する起泡力, 浮鑛力を既に優秀なる浮鑛油として使用され來り, ヤーマーFパイン油並に最近浮鑛油として登場せる, シトロネラ油更にシダーウッド油 (西洋杉油) に對し比較檢討したところ, 前二者共にヤーマーFパイン油に對しては, 起泡力は劣るも浮鑛力に於ては, 杉根硫酸處理油は之を凌ぎ杉根原油は多少劣りたるのみにて, 何れも優秀なる成績を示し, シトロネラ油, シダーウッド油に對しては起泡力も浮鑛力も遙に凌駕した。顧ふに杉は本邦到る處に豊富に産するものにして, その需要を充分に満し得るものといへよう。
されば杉根油が如何なる成分より成り, その有する起泡力, 浮鑛力が何の成分に基因するものなるや, 等については更に詳細なる研究に〓つとしても, 浮鑛油不足の現勢下、杉根油の優秀なる浮鑛力の確認は, その及ぼすところ大なるものありと考へ, 拙速なる原稿ではあるが, 玄に不取敢發表した次第である。

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© The Mining and Materials Processing Institute of Japan
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