日本鉱業会誌
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磁硫鉄鉱の電気的特性と鉱床 (第2報)
武中 俊三
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1957 年 73 巻 824 号 p. 75-80

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抄録

筆者は今まで行つて来た研究から次のような事を知る事が出来た。
(1) 磁硫鉄鉱の電気比抵抗・熱起電力は各鉱床毎に一定の傾向を有し, またそれらの頻度分布曲線は生成環境との間に或る種の相関性を有しているので, これらの測定から逆に鉱床生成当時の物理化学的環境を或る程度推察する事が出来る。
(2) 単結晶磁硫鉄鉱はすでにP型半導体と報告せられているが多結晶質磁硫鉄鉱もすべてP型に属し, N型のものは認められなかつた。これは磁硫鉄鉱が欠損型固溶体であり, Fe格子点の欠陥を有している事と深く関係しているように考えられる。
(3) 磁硫鉄鉱の熱起電力の温度依存性はいずれの鉱床の試料についても, ほとんど同一の傾向を示し, 0°~200℃で次式で示される曲線となる。
E=αt+βt2
(4) 坑内における熱起電力の分布は各鉱床毎にそれぞれ一定の傾向を有し, 地質学的産状との間にもそれぞれ一定の相関係性が認められた。したがつて1鉱床について系統的なサンプリングを行つてその電気的性質に関する傾向を把握しておけば鉱床生成環境の解明に対する有力な材料となると同時に富鉱帯の探査上にも充分応用出来るものと思う。

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© The Mining and Materials Processing Institute of Japan
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