1995 年 111 巻 2 号 p. 119-124
トリオクチルメチルアンモニウム塩(R3R'NClおよびR3-R'NOH)による水酸化ナトリウム溶液からのモリブデン (VI) およびタングステン(VI)の抽出が種々の条件により検討された。その結果モリブデン (VI) に対する第4アンモニウム塩の抽出効果はタングステン(VI)に対するそれよりも大きいけれど, 両金属共に次のような式の陰イオン交換反応MO42-(ag)+2R3-R'NOH (org)→(R3R'N)2MO4(org)+2OH-(ag) (M=MoまたはW)により抽出されることが判った。加えて種々の陰イオン基NO3-,SCN-,HSO4-およびClO4-で置換されたトリオクチルメチルアンモニウム塩によるモリブデン (VI) およびタングステン(VI)の抽出がR3R'NClおよびR3R'NOHによるそれらの抽出と比較された。そして第4アンモニウム塩によるモリブデン (VI) およびタングステン (VI) の抽出効果はOH->Cl->HSO4->NO3->SCN->ClO4-のように塩の陰イオン交換容量に依存することが明らかになった。さらに抽出化学種(R3-R'N)2MO4の形成が有機抽出物の赤外線吸収スペクトルにより示された。