メカノケミカル的に活性化したタルクから, 0.5mol/dm3硫酸あるいは0.5mol/dm3塩酸を用いて, 298Kと333Kの温度下でマグネシウム抽出実験を行った。遊星ミルによるタルクの30分乾式粉砕では, タルクの結晶構造はほぼ無定形な状態へと変化する。この変化は, タルクの結晶構造におけるマグネシウム環境構造の変化を表し, したがって, 酸浸出過程では, マグネシウムが選択的に抽出されることを示唆する。硫酸並びに塩酸を用いた抽出実験では, 抽出時間は30分で十分であり, 未粉砕産物からのマグネシウム抽出は, ほとんどなく, 粉砕時間30分では約40%まで増大する。3時間粉砕処理した試料を常温で上記濃度の硫酸と塩酸により浸出すると, マグネシウム抽出率は, それぞれ約70%, 約63%となる。それでもシリコンの抽出は依然として3%以下に抑制される。