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超音波伝播時間計測法の地圧推定への応用
後藤 龍彦児玉 淳一板倉 賢一吉田 豊
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1997 年 113 巻 8 号 p. 593-599

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抄録

変形率変化法 (DER) は理論的根拠は薄いが, 簡便でかつ興味ある地圧計測法として注目されている. DRAは岩石の変形過程における内部構造の変化と, 密接な関係を有すると考えられる. 岩石の内部構造を調べる一手法として, 従来より超音波伝播時間計測が用いられているが, ここでは10-2nano-secの精度で伝播時間を計測できる装置により, あらかじめ人工的に応力を記憶させた太平洋炭鉱産砂岩に, 載荷軸に垂直な面内の伝播時間計測とDRAを同時に試みた.
その結果, 伝播時間が高精度で計測され, 伝播時間と横ひずみ挙動との間に, 比較的良好な対応が認められた. また, 伝播時間は記憶応力付近で大きな変化を示し, その点はDRAで得られた屈曲点とほぼ一致した. すなわち, 高精度の超音波伝播時間計測は, 岩石の内部構造変化を詳細にとらえることができ, 今後コアを用いた地圧計測を発展させる上で, 有効な計測手段となり得ることがわかった.

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© The Mining and Materials Processing Institute of Japan
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