皮膚
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Hairlessマウス皮膚における脱毛過程および嚢腫形成の走査型電顧による観察
濱田 稔夫斎藤 忠夫
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1977 年 19 巻 4 号 p. 336-345

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抄録

Hairlessマウス皮膚の脱毛過程および嚢腫形成を表皮および毛髪の表面, 表皮剥離標本の裏面および真皮側, さらに皮膚割面などについて光顕像と対比しながら, 走査型電顕で観察した。脱毛期に入ると毛孔部に裂隙をみ, 毛管は開大する。その結果として, 毛嚢の短縮化を来たす。脱毛孔は角質片が層状をなして不規則な噴火口様を呈する。これらの毛孔は日時がたつにつれて角質板でみたされるようになるが, ところどころ皸裂様に残っている。表皮裏面には毛嚢がほぼ線状に並んで真皮に突出しているが, 脱毛後, 漸次太く短かくなり, 滑らかな丸みを帯びて皮脂腺形成を思わせる。完全脱毛終了後, 短縮毛嚢から分離して, 旧毛球部の位置に残存した毛嚢上皮細胞塊が漸次, 嚢腫を形成するが, これらの短縮毛孔, 上皮性嚢腫の内部構造も併せて供覧し, 私見を述べた。生下時よりanagenにかけてはhairyマウスの所見と変るところはない。

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© 日本皮膚科学会大阪地方会
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