1984 年 26 巻 3 号 p. 658-663
ホウ酸亜鉛華軟膏 (BZS) は皮膚科医にとって, 最も使用頻度の高い外用治療剤である. これによる接触皮膚炎は, その報告がないためか原因薬剤としては見のがされがちである. 我々は当科外来でBZS外用療法中に5例の接触皮膚炎患者を経験した. 各種外用剤の貼布試験の結果, BZSによると断定され, その原因成分を検討した結果は, 全例がミツロウによるアレルギー性接触皮膚炎であることが判明した. このミツロウを更に分画して得た6分画の検討で, 全例脂肪酸とエステルの混合物に陽性であり, うち1例 (他の症例は未検討) は脂肪酸によるものと断定した.