抄録
顔面皮膚では老齢者でも乾皮症症状がみとめられない理由を知る目的でa) 角層表面水分量, b) 発汗量, c) 角層細胞層数, d) 顆粒細胞層数, e) フィラグリン量について検討した。15~18℃および26~27℃での顔面皮膚角層表面水分量は若年と老年でほぼ同一であった。フィラグリン量も半定量的解析の結果, 若年と老年で有意差を認めなかった。しかし対照として用いた老年下腿皮膚との間には著しい差が認められた。以上の結果から顔面皮膚で乾皮症症状が出現し難いのは (1) 冬期の低温乾燥条件下でも角層表面水分量が充分に存在し,(2) 保水因子の前駆体の量も減少していないので, 顔面皮膚では角層表面が下腿皮膚に比して乾燥し難いためと考えられる。