1989 年 31 巻 6 号 p. 788-793
症例は4歳の男児, 金属義歯を充填した後2カ月頃より口唇, 両頬に痒感を伴う青アザ様の斑が出現した。接触皮膚炎部位 (臀部, 腹部), 虫刺部位 (下肢) にも色素沈着が残存し, 耳介にも色素沈着を生じたため当院を受診した。初診時には, 口唇, 両頬, 耳介, 腹部, 臀部, 下肢に碗豆大-母指頭大までの紫褐色斑, 両頬粘膜の金属義歯の当たる部位に白色斑を認めた。下肢と頬粘膜の皮疹の組織検査にて, 扁平苔癬の像を認めた。パッチテストでは0.05%aq塩化第二水銀に強陽性を認めた。アマルガム除去4カ月後の現在, 色素沈着は軽減しつつある。