1996 年 38 巻 1 号 p. 37-41
座瘡発症機序における男性ホルモンの作用を検討する一環として女性瘡患者29例に芍薬甘草湯を 12週間投与しその前後における血中testosterone (T), free testosterone (FT), dihydrotestosterone (DHT), dehydoepiandrosterone sulfate (DHEA-S), sex hormone binding globulin (SHBG) の変動と臨床症状の効果を検討した。血中T, DHT, DHEA-S, SHBG値に有意の変動を認めなかったが, 血中FTは有意に低下した。また臨床効果判定では29例中18例に中等度以上の症状改善と脂漏の改善を認めた。以上の結果より有薬甘草湯が血中FTの低下に作用し皮脂量を抑制することにより, 瘡の改善をもたらす可能性が示唆された。