2001 年 43 巻 2 号 p. 111-115
骨髄性プロトポルフィリン症はヘム合成の最終段階におけるferrochelatse活性の低下が原因である常染色体優性の遺伝性疾患である. しかしferrochelatase活性低下のレベルと肝障害を含めた臨床症状との関連についてのデータはまだ少ない. われわれは1歳男児の骨髄性プロトポルフィリン症患者において末梢血リンパ球のferrochelataseのmRNAを測定したので報告する. 患児は顔面と両手背及び指背の紅斑を主訴に来院した. 赤血球蛍光は陽性であり, 赤血球中のプロトポルフィリンと亜鉛プロトポルフィリンは高値であった. 末梢血リンパ球のferrochelataseのmRNAは正常人の43%と低値を示した. 今後骨髄性プロトポルフィリン症においてferrochelataseのmRNAを検討することは, 皮膚症状や肝障害との関連を考慮する上で重要と思われた.