抄録
わが国の山間地域では,過疎化・高齢化が急速に進行し,高齢化率50%を超える限界自治体が出現している.本研究の目的は,災害危険性に着目し,限界自治体において住民からみた生活質と居住意向を分析することである.限界自治体である群馬県南牧村を対象とした生活質評価アンケート調査を実施,分析した結果,生活質を構成する因子として利便性,安全性・危険性,コミュニティ,周辺環境,水・緑環境が抽出できた.また,因子分析の結果に基づき,村内の集落を類型化した.さらに,生活質と居住意向を分析した結果,生活質評価と居住意向の形成には,個人属性と集落特性が影響していることを明らかにした.