2005 年 3 巻 p. 205-213
本稿は,デジタル著作権管理(DRM)が生み出す経済的便益を研究する.DRMは,デジタルコンテンツに関する様々な権利を保護し,その流通を円滑化し,制作者および供給者が正当な対価を回収できる仕組みを提供するなど,デジタルコンテンツ流通を促進するために不可欠な基盤技術である.他方,DRMの導入により,利便性の低下,死重損失,参入障壁などの問題が生じることに注意しなければならない.そこで本稿では,DRMの導入による社会的な便益とコストを挙げ,それぞれに関して経済学の視点からの検討を試みる.