医療の質と安全を高めるために,診療の過程で起きた患者の死亡について,その死因を究明し,また,必要に応じて,診療内容に関する調査・分析も踏まえて事故原因を探り,再発防止に生かす事故調査が必要となる.本研究では,日本の現状の医療事故調査の問題点の分析や,平成17 年10 月より開始された厚生労働省補助事業「診療行為に関連した死亡の調査分析に関するモデル事業」の運用の分析を通して,医療事故調査のための第三者機関創設への法制度的な課題を検討し,人材の確保,地域差への対応,院内調査との整合性,情報の取り扱い,警察との関係に関する課題の抽出を行った.