2006 年 4 巻 p. 75-83
ナノテクノロジーは社会に極めて大きな便益をもたらすことが期待されている半面、負の社会的影響が生じることも懸念されている。本論文はまず、ナノテクノロジーがいかなる性質を持った問題であるのかを明らかにすると同時に、これまで行われてきたナノテクノロジーの問題分析の仕方ではこの複雑な問題を十分に扱うことが難しいことを指摘する。そして、この問題を分析するための新たな手法を提示するとともに、それを実際に適用し、手法のフィージビリティを確認する。この手法は、問題の認識の異なる人々の間で議論を行う際の共通の土台となる可能性がある。