抄録
新葛飾病院は,医療ADR という取組みを行っており,この取組みを調査することでADR の新たな可能性を探ることを目的とする.著者らは,簡略化した問題構造化手法を援用し,文献調査及び院内ADR に関する院長の課題認識を参考にADR を運営する上での課題に関する仮説を構築した後,新葛飾病院内外の関係者にインタビュー等を行い,このインタビューの成果から得られる知見を整理して,仮説を修正するとともに,病院内の関係者が認識する論点を抽出し,再構成することによって,新葛飾病院における院内医療ADR の意義や問題点を明らかにした.以上の作業を通して,メディエーターのコミュニケーション能力の重要性や非医療者登用のメリットなどが明らかとなった.