遡航
Online ISSN : 2758-1993
青い芝の会において「健全者手足論」がいかにして肯定され、批判されたのか
ジャーナル オープンアクセス

2022 年 2022 巻 2 号 p. 2-21

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抄録
本稿では 1970 年代後半に青い芝の会が主張した「健全者手足論」と呼ばれる言説について、会の障害者らがそれをどのように議論していたのかを一次資料を用いて検討した。「健全者手足論」とは、青い芝の会の活動への健全者組織による介入を完全に退けるために、健全者(組織)の口出しを一切禁じようとしたものである。  健全者手足論を巡る主たる争点は2つあった。第一に、健全者をどのように位置づけるのかという点であった。これには告発糾弾型の闘争か、そうではない別のあり方かという運動の方向性の違いが背景にあったと考えられる。第二に、「運動」と「生活」をどのように位置づけるのかということである。健全者手足論の肯定派は「運動」と「生活」を切り分けて考えようとしたが、それをどのように位置づけているのかという質問やそれはそもそも切り分け得ないものだとする主張が懐疑派によってなされた。
© 2022 本論文著者
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