抄録
立命館大学生存学研究所では⾧年アーカイブ活動を続けており、とりわけインタビュー記録と紙媒体資料の蓄積はかなりの量となっている。昨夏も重要な資料の寄贈があったが、保管のための物理的なスペースはなくなりつつある。他方で、紙媒体の資料は、情報のデジタル化以前の印刷物という保存形態の特性から、整理・参照が容易ではなく、寄贈に携わった少数の関係者がその内容についていくらか知っている、という状態のまま置かれていることが多い。そのままでは当然、関係者の入れ替わりにより、その資料がどのようなもので、誰から、どういった経緯で寄贈されたのかがやがて忘れ去られてしまう。そこで本稿では、天瀬裕康(渡辺晋)さんからの寄贈資料のうち『医家芸術』について、天瀬さんのご経歴に触れながら紹介するとともに、同誌の過去の研究利用/将来の利用可能性について見ていく。