測地学会誌
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Los Angelesにおける平均海水面変化について
山口 生知
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1964 年 10 巻 1 号 p. 1-5

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抄録

 1.1924~1958年の35年間にわたる月平均潮位について各月毎の年周平均海水面の値を計算した.そしてSan Franciscoと日本のAburatuboの年周平均海水面の値と比較してみた.その結果はAburatuboにおける最低潮位は3月であるが,Los AngelesとSanFranciscoとは4月である.またSan Franciscoでは11月に第2の最低潮位が現われているがAburatuboとLos Angelesには明瞭な第2の最低潮位は見えない.この差異はSan Franciscoにおいては上昇寒流による影響が11月頃特に大きいことを暗示するものと思われる. 2.年周変化からの月々の偏差の値を計算して図に画いてみると1940年8月頃から1941年5.月頃までの間にSan Franciscoと同様の異常上昇が現われていて,1941年2月頃に最大値に達している.そしてSan Franciscoでは永年平均値よりも180mmも高く,Los Angelesにおいても130mmも高くなつている.その理由については今日いまだ明らかでない. 3.年平均値についてみると,3ヵ所とも永年の間連続して海面が上昇している.その割合は4~5mm/yearである.またAburatuboでは18~20年の周期で上り下りしているがLos AngelesとSan Franciscoとでは5~6年の周期で上り下りしているのが見られる.これらは恐らく地盤がかような周期をもつて平均海水面に対し相対的な上下運動をしているものと思われる.Aburatuboの場合は水準測量との比較によつてすでに明らかにされている.

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