熱海景良氏(1933),川畑幸夫氏(1939)らの日本の垂直線偏差の解析による研究によれば,日本のジォイドに適合する準拠楕円体の赤道半径や偏率は,基準となっているベッセル楕円体のものより小さく,IAGなどで採用されているものに対し大きなへだたりがあるとされてきた. ところが,両氏の論文をくわしく調べると,各点の測地経緯度からdaやdf'による補正量が引かれていることが分った.すなわち,熱海氏が誤差としているのは補正量であり,川畑氏が補正量としているのは誤差量である.したがって,両氏の求めた楕円体の赤道半径や偏率はベッセルのものより大きく,α=6377.877km(熱海)6377.707(川畑)f =1/288.43(熱海)1/294.26(川畑)となる.