測地学会誌
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東北日本マイクロプレート説と周辺地域のテクトニクス
―いつプレート境界が北海道中央から日本海東縁にジャンプしたか?―
瀬野 徹三
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1985 年 31 巻 1 号 p. 106-123

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抄録

 東北日本が北米プレートの一部であるという説が,主として日本海縁部,フォッサ・マグナでのデータをもとに唱えられている.一方,東北日本がマイクロ・プレートであるという説が南関東のデータをもとに唱えられている.ここではこれらの説を検討するために北海道の第四紀の地殻活動を調べた.北海道の第四紀後期の活動はその南部に集中しており,これは千島前弧の横ずれ運動と日高山脈付近での衝突によってよく説明できる.従って北海道の中軸部でのユーラシア-北米プレート間の衝突はすでに活動を終えており,プレート境界の転移はほぼ完了しているといえる. 房総沖海溝三重点付近の地形は,東北日本のユーラシア-北米変換が0.5Maころ起きたことを示唆する.西南日本の東西方向の圧縮応力に伴う地殻変動,いわゆる六甲変動の開始は約0.5Maであり,これはフォッサ・マグナでの衝突の開始がユーラシア-北米変換によって始まったことを意味しているのであろう.したがって東北日本の北米変換は地質学的タイム・スケールでは0.5Ma頃に起こり,現在では完了しているとみられる.

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