1997 年 43 巻 2 号 p. 107-110
長野県松本盆地は第四紀中期更新世以降に断層活動を伴う地殼変動により形成された断層盆地であり,糸魚川-静岡構造線が盆地の東縁部を南北に貫いている.松本盆地の現在進行中の地殼変動をあきらかにするため,盆地の周縁部にGPS観測点を6カ所設け,1992年10月-1996年12月の期間GPS観測をおこなった.その結果,大町市を含む松本盆地の北部地域では,地殼主歪が北北西に2.8±2.3×10-7/Yrの縮み,東北東に1.9±2.7×10-7/yrの伸びとして観測され,面積歪は0.9±3.5×107/yrの収縮を示した.一方,松本市を含む盆地の南部では,地殼主歪が北北西に2.8±1.8×10-7/yrの伸び,東北東に0.6±1.2×10-7/yrの伸びとして観測され,面積歪は3.4±2.1×10-7/yrの膨張を示した.