測地学会誌
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粘弾性による余効変動のモデリンク
田中 愛幸
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2007 年 53 巻 1 号 p. 35-50

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抄録
 GPSにより観測された余効変動から余効すべり分布を決定することは,プレート境界面の断層摩擦特性を推定するために重要である.しかしながら,信頼性の高い余効すべり分布を求めるには,観測された余効変動のうち粘弾性変形による寄与をモデル化し,インバージョンの前に変位データから差し引くべきである.このことは,粘性緩和の見積もり精度を上げることもまた重要であることを意味する.ところが,遠地での変形を厳密に評価できることが利点であるところの,地球を球体として扱う粘弾性余効変動の理論においては,これまで圧縮性の効果が無視されてきた.本稿では,最近開発された球対称地球モデルにおいて圧縮性を考慮する手法を用いて,沈み込み帯の典型的な大地震により発生する余効変動に対して,圧縮性の効果がGPSで検出可能であることを示す.次に,例として,この手法を2003年十勝沖地震に適用する.簡単なフォワード計算を行ったところ,地震発生から数ヶ月以降に関しては,GPSにより観測されたトレンドの空間パターンを粘弾性モデルによって説明できることが分かった.この結果,観測されている余効変動の中に,検出可能な信号強度において粘弾性の効果が現れ始めている可能性が指摘される.
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