脊髄外科
Online ISSN : 1880-9359
Print ISSN : 0914-6024
脊椎脊髄疾患の治療に関する指針(ガイドライン)
脊髄神経膠腫の外科治療に関する指針
高見 俊宏黒川 龍関 俊隆小柳 泉日本脊髄外科学会学術委員会
著者情報
ジャーナル フリー

30 巻 (2016) 1 号 p. 25-40

詳細
PDFをダウンロード (567K) 発行機関連絡先
抄録

 脊髄神経膠腫はまれな病態の1つである. 症例数はほかの脊椎脊髄疾患に比べて圧倒的に少ない. 後療法を含めた治療方針は, 頭蓋内の神経膠腫に準じて決定されることがほとんどである. しかし, 脊髄神経膠腫の臨床像は, 実際には頭蓋内神経膠腫とは異なり, 生物学的悪性度も同一なのかどうかも明らかになっていない.
 本指針の目的は, 脊髄神経膠腫の治療に関する現時点での到達点を, 文献の検索によって明らかにすることである. 検索の対象病態はWHO grade Ⅰの粘液乳頭状上衣腫, 上衣下腫, 毛様細胞性星細胞腫, WHO grade Ⅱの上衣腫, びまん性星細胞腫, WHO grade Ⅲの退形成性星細胞腫, WHO grade Ⅳの膠芽腫とした. このうち, 退形成性星細胞腫と膠芽腫は, 悪性星細胞腫あるいは悪性神経膠腫として報告する文献がほとんどであったため, まとめて1つの病態とし, 計6病態に関して指針を作成した. なお, 乏突起細胞系腫瘍は, 頭蓋内神経膠腫では, 星細胞腫系腫瘍に比べて予後が異なることが知られているが, 脊髄神経膠腫では報告が少なく, 今回の検討からはずした.
 指針の作成方法は, おもに外科治療に関する文献を, PubMedを主体として検索した. 文献のエビデンスレベルは, レベルⅠ : よくデザインされたランダム化比較臨床試験, レベルⅡ : よくデザインされた非ランダム化比較臨床試験, レベルⅢ : 臨床記述研究, レベルⅣ : 患者データに基づかない専門家の意見, の4段階に分類した.
 文献の内容とエビデンスレベルより, 外科治療 (摘出程度), 放射線治療, 化学療法に関して, 有効性に関する現時点での判断を, 推奨として記載した.
 推奨のレベルは, 文献のエビデンスレベルから次のように分類した. レベルA : 複数のレベルⅠのエビデンスに基づいた推奨, レベルB : 複数のレベルⅡのエビデンスに基づいた推奨, レベルC : 複数のレベルⅢのエビデンスに基づいた推奨, レベルD : レベルⅣに基づいた推奨, の4段階とした. 結果として, レベルⅡ以上の文献はなく, ほぼすべて推奨レベルCであった.
 本指針は, 脊髄神経膠腫の治療の標準を示すものではない. また, 治療手順を示すガイドラインとは全く異なるものである. 脊髄神経膠腫の6病態に関する現時点での知見を提示し, 今後の治療方針の決定や, 新しい治療手段の構築に役立てることを目指したものであることを理解していただきたい.

著者関連情報
© 2016 日本脊髄外科学会
前の記事 次の記事

閲覧履歴
feedback
Top