抄録
過去事例から学ぶことによって技術を向上させるのは重要である.筆者は,48件のITシステム開発プロジェクトデータを分析することによって,マネジメント向上を試みた.分析の結果,出荷後品質基準を達成したプロジェクトと未達のプロジェクトの間には,開発経緯に差異があることがわかった.未達プロジェクトは典型的とも言える開発経緯をたどる.これを未達プロジェクトの開発ストーリーと呼ぶ.未達プロジェクトの開発ストーリーに基づき,開発途中のリスクマネジメント項目を設定することにより,早期に問題プロジェクトを検出可能である.過去データの分析結果に基づいて,マネジメント内容を見直すことにより,リスクマネジメント技術を向上することができる.