粉体工学研究会誌
Online ISSN : 1883-8766
ISSN-L : 0034-5156
成型触媒体の粉砕機構
向井田 健一秋吉 亮白崎 高保
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1969 年 6 巻 6 号 p. 401-405

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抄録

多孔質成形触媒体の1試料として湿式成形して作ったシリカアルミナタブレット (石油化学工業用) を選び, その機械的強度の一つである耐粉砕特性, とくにその基礎となる粉砕機構をボールミルを用いて検討し, 下記の知見を得た。
1) 触媒体タブレットの粉砕はつぎの2段の逐次過程としておこる。 (a) まず, 角および表層部が摩耗し, 微粉末 (0.3mm以下) と球に近い粒状物 (3.5-4mm) とをつくる表層粉砕過程, (b) 前過程でできた粒状物 (タブレット内部) がさらに微粉末 (0.3mm以下) に押しくだかれる体積粉砕過程。
2) 上の2段過程は粉砕速度論的にはほぼ1次1次の逐次過程とみなすことができる。両過程の比速度はそれぞれ触媒体の表層部と内部の耐粉砕特性を定量的に表現する値とみられよう。両者を比較すると, 表層部の比速度は内部の比速度の数倍大きい。すなわち湿式成形した触媒体タブレットの表層部は内部よりはるかに砕かれやすい。これはタブレットという形状構造 (幾何学的構造) によるものであろう。

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