抄録
急速に高齢化が進む現在、高齢者の空間移動の利便性を保証すると同時に、多発する交通事故を激減する安全性の高い移動手段が求められている。この論文では、これらの相反する要求を満たすことを目的とする。まず、交通事故の実態を分析し、高齢者のリスクが大きいことを示した。運転免許の不要な電動車イスの規制内で実現できる1人乗りで、より安全性の高い電動車輌(以下プラチナカーと呼ぶ)の概念を提起し、そのシステム設計を行い、性能の定量化を行った。そのうえで、実物大木型での検証とアンケート調査を行った。結果として、身長180 cm、体重95 kgの利用者でも利用可能であることを示した。また、アンケート調査では利用者の最も切実な要望は屋根が付くことであった。以上により、この提案の概念が交通弱者によって受け入れられることが有望であることが理解された。最後にその普及方策案について記述した。