抄録
近年、二酸化炭素の排出量が民生業務部門でも増加している。この実験ではビルの冷暖房用循環水の搬送動力を低減させることを目的として、循環水に高分子や界面活性剤を混ぜると発現する流動抵抗低減効果、いわゆるToms効果を利用し、その有効性を検証した。この効果については、多くの基礎研究やビルへの適用例もいくつかあるが、複雑な配管路から構成される実際のビルの循環水に界面活性剤をどのように注入するか、注入後管内の流動や伝熱の性能はどのように変化するか、さらにこの効果を長期にわたり維持継続する方法等について明確にした報告がなく、この技術の普及の妨げとなっている。この論文では札幌市役所本庁舎の冷暖房システムを使用して行った実証実験で得られた知見を示し、それを一般化してこの技術の普及につなげたい。