2009 年 2 巻 2 号 p. 154-164
公的機関の研究成果が社会に認知され、大きな影響を与え、産業変革につながっていった「PAN系炭素繊維」を取り上げ、この顕著なイノベーションの過程の中で、その核心にある旧大阪工業技術試験所および研究者の行動を中心に、(1)研究者の意識、(2)研究テーマ設定に係る研究者と研究管理者(マネージメント)の意識、(3)研究成果の発信と受け手の態勢、(4)研究成果活用のための人的及び情報ネットワーク、の観点から、その実相を検証した。さらに、一連のプロセスの構造化を図ることにより、イノベーションモデルとして『励振モデル』を提案する。