抄録
大気中の二酸化炭素増加による地球温暖化が注目されている。産業革命以降の温暖化傾向や過去の温暖化事象を精密に復元することにより、地球温暖化予測モデルの高度化に寄与できる。海域では、サンゴ骨格の化学分析から過去数百年にわたる水温や降水量、塩分を高い時間分解能で復元する技術が注目を集めている。また、18世紀頃の小氷期用語1や約2万年前の冷涼な最終氷期、あるいは350万年前の鮮新世用語3温暖期といわれる時代のサンゴ化石から、さまざまな指標を複合的に評価し、当時の気候を正確に復元することも重要な課題である。サンゴ骨格を用いた研究手法は、異常高水温によるサンゴ白化現象や、海洋酸性化現象の解明にも貢献することができる。