抄録
この論文では、著者らが世界で初めて窒化アルミニウム(AlN)系薄膜圧電体を用いて開発した、量産車用燃焼圧センサーの研究開発の経緯について述べる。この研究開発の構想当時(2003年以前)は、単結晶を用いたセンサーが一般的であり、薄膜圧電体を用いた燃焼圧センサーは未開拓領域であり、その有用性は認識されていなかった。しかし、この研究開始以降、国内外の自動車部品会社や大学などが興味を示し、実用化に向けた共同研究を実施した。その結果、冷却を必要とせず、小型で高感度の燃焼圧センサーの開発に成功した。現在、著者らはセンサーの実用化を目指し、センサー信号の安定化、センサー構造の簡素化などの課題を解決するために研究を行っている。