抄録
高炉主樋の損耗速度変化を数値的に解析するため,損耗速度はスラグ流速が増大すると大きくなると仮定し,物質移動モデルを適用した。このモデルには,フィックの法則に基づいて,耐火物成分のスラグへの溶解度,スラグ流速,耐火物成分のスラグへの拡散係数,スラグ粘度が考慮されている。
このモデルを実操業している高炉の樋の損耗速度解析に適用し,総括拡散係数としてスラグラインで3.03×10-10m2
・s-1,メタルラインで1.15×10-9m2・s-1を得た。これらの値は文献に示されている実験室で測定された値とオーダーが一致した。また,主樋の激傷部(上流)と下流の損耗速度の違いがスラグ流速の差で説明されることが定量的に示された。
さらに,今回得たモデルを用いて,主樋損耗速度におよぼす温度の影響,スラグ飽和度の影響を試算した。