抄録
カーボンナノファイバー(CNF)とMgOの複合体(CNF-MgO複合体)を添加したMgO-Cれんがの強度を,三点曲げ法で測定した。その結果,CNF-MgO複合体の添加量を増加させるほどれんがの強度は向上し,CNF-MgO複合体を 6 mass%添加した場合では無添加品のれんがと比較しておよそ2.2倍の強度向上が図られた。更にCNF-MgO複合体と金属アルミニウム(Al),またはピッチとの併用効果について調査した。その結果,CNF-MgO複合体とAlを併用添加することで強度は著しく向上し,またCNF-MgO複合体とピッチを併用添加した場合でも,ピッチの添加による弾性率低減効果が発現することがわかった。CNF-MgO複合体を添加したれんがの破断面のSEM画像から,CNFがマトリックス組織内で耐火物組成物と絡み合った網目状の構造を形成していることが確認できた。このことから,MgO-Cれんがに対するCNF-MgO複合体の添加による強度向上効果は,れんが組織中のCNFが応力発生時の亀裂進展を抑制したため得られたと推定した。