大阪府医師会は1971年以来隔年ごとに, 大阪府全公立小学校児童を対象に, 大気汚染に関する自覚症状の質問紙法による調査を実施してきた。1979年に第5回目の調査を実施したが, この間の調査校数は延8, 173校, 調査児童数は延3,648,550名に達した。大阪府のこの間の大気汚染は, 二酸化硫黄濃度および浮遊粉じん量が逐年減少, 二酸化窒素濃度はほぼ横ばいであった。
1) 大阪府を硫黄酸化物濃度の程度によって5群に区分すると, 各調査年度とも, 大気汚染の著しい地域ほど咳の訴症率が高く, 且つ, 汚染の著しかった地域ほど硫黄酸化物濃度の減少に応じて訴症率が逐年著明に低下した。一方, 非汚染地域の訴症率はほぼ一定であった。
2) 二酸化窒素涙濃度がほぼ横ばいである9カ所の大気汚染測定点の周辺校の成績でも, 二酸化硫黄濃度の減少に伴って咳の平均訴症率の低下がみられた。このことから二酸化硫黄涙濃度および二酸化窒素濃度を指標とする咳の訴症率の模型式を求めることができた。