抄録
小型ディーゼルエソジンを用い, エンジンの運転状態を簡略化し, 燃料の不完全燃焼や還元雰囲気での高温反応により生じる排出ガス微粒子中に含有されるベンゾ (a) ピレンとエソジンの挙動に関する諸因子の関係を変異原性テストと関連させて比較検討を行った。エンジンの運転状態は回転数を一定にし, 負荷を各々設定し, 排出ガス中微粒子を空気希釈法による直接導入型サンプリング装置を用い, グラスファイバーフィルター上に捕集した。捕集試料はフィルターごとベンゼンでソックスレー抽出し, 抽出液を濃縮後, 高速液体クロマトグラフィー, けい光検出器により定量を行った。変異原性テストに関しては, Ames法の変法であるpreincubation法を用いた。これらの実験に基づいて負荷変化に対する燃料消費量, 排出ガス量, 排出ガス中微粒子含量, ベンゾ (a) ピレン排出量, 変異原性テストについてそれぞれ検討を行った。その結果, ディーゼルエソジン排出微粒子に関し, 定速回転時で負荷を変化させたとき, ベンゾ (a) ピレン排出量は負荷750Wで極小を示し, 変異原性テストは負荷500Wで極小を示した。