大気汚染学会誌
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嗅覚パネルの閾値の個人内変動について
岩崎 好陽中浦 久雄石黒 辰吉
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1983 年 18 巻 5 号 p. 464-468

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抄録

悪臭の官能試験における測定結果に影響を及ぼす嗅覚パネルの嗅力の個人内変動について調査した。嗅力の検査はT & Tオルファクトメータの中から3基準臭イソ吉草酸, スカトール, メチルシクロペソテノロンを用い, 13名のパネルによる30回の繰り返し試験で行った。その結果以下のことが明らかになった。
(1) 3基準臭に対する各パネルの個人内変動は変動係数でそれぞれ6.2%, 6.6%, 7.6%であり, 個人間変動に比べ, 比較的大きいことがわかった。
(2) 嗅力の1日における時間変動については, 朝夕と昼休み前後に嗅力の多少の低下がみられたが, 有意な差とはいえなかった。
(3) 嗅力の繰り返し実験の結果初回と2回目とに有意な差が生じ, 初回は不慣れのためか嗅力が低下していたが, 2回目以降は有意差はなかった。訓練による嗅力の上昇は確認されなかった。
(4) 閾値を示す正解率については, 今回の実験結果からは3基準臭平均で, 正解率0.62が最もパネルによる変動が少なく, 0.58にほぼ近い値であった。

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