大気汚染学会誌
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野外条件下におけるアサガオ葉の可視障害発現と複合大気汚染との関係
岡崎 淳岡部 真一白鳥 孝治
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1984 年 19 巻 5 号 p. 379-386

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抄録
アサガオは, 全国各地で広く栽培されており, オキシダント (以下Ox) の指標植物としてよく用いられている。しかし, Oxによるとされるアサガオの可視被害 (以下Ox様可視被害) は・実際の大気環境下における調査ではOx濃度との対応は良好ではない。そこで, アサガオのOx様可視被害と大気汚染との関係を知るため調査を実施した。昭和57年7月, 58年7月の2回, 千葉県市原市・袖ケ浦町の大気汚染常時監視測定局8局の敷地内にアサガオを配置し, 5汚染物質 (Ox, NO, NO2, SO2, SP) 濃度とOx様可視被害の程度との関係を統計的に解析した。その結果.
1) いずれの単一汚染物質でも濃度と被害との間に相関はみられなかった。
2) 被害発生の有無は5汚染物質の長期的な累積値 (配置後から調査日前日までの日中 (9-18時) の累積値) および各調査日における現存葉数を用いた判別モデルによって90%以上の確率で判別が可能であった。
3) 被害程度は被害発生直前のOx高濃度日の5汚染物質の日中最高値を用いた重回帰モデルにより良く説明された。重相関係数は, 57年: 0.838 (1%有意), 58年: 0.854 (5%有意) であった。
この解析の結果より, Oxによる被害であるとされるアサガオの可視被害であっても・野外においては被害発現の有無, 発現する被害の大きさはOx単独で説明することは難しく, 他の汚染物質の影響を考慮することが必要であると推測された。
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