抄録
長距離輸送されてくる大気汚染物質に基づく雨水の質的変化が指摘されており, それは特に雨水の酸性化: 酸性雨現象として注目されてきている。本総説では, 大気中の窒素酸化物による雨水成分の質的変化について, 現在までに得られている知見をまとめた。
雨水の酸性化をもたらす, 大気中の主な物質は, 化石燃料の燃焼に伴い大気中に放出されるいおう酸化物と窒素酸化物 (NOx) と考えられているが, 最近は, とりわけNOxの役割 (とくに, NOxから二次的に生成されるHNO3など) が重要視されるようになってきた。
また, 雨水中のNO3-とNO2-両イオンは大気質評価の有効な指標と成りうると考えられる。