大気汚染学会誌
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大気汚染と運動
横山 栄二
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1988 年 23 巻 1 号 p. 1-6

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抄録
大気汚染下で運動した場合, 当然換気量は増えており, 大気汚染の健康影響が強まらないであろうか, という疑問を誰でもが抱くであろう。 本総説はこの実際上の疑問に学問的に応えようとするものである。健康人は安静下では通常鼻を通じて呼吸しているが, 分時換気量が35~40l/mを超えると口呼吸が始まるという報告があり, 一方汚染ガス, 例えばオゾンの上気道による摂取率は口経路の方が鼻経路より遙かに低いという報告がある。 すなわち, 運動時呼吸の特徴の一つは, 吸入空気量の増加に加えて口経路を通ずる換気の割合が増加する事にあり, したがって運動時には鼻呼吸より予測されるよりも相当に多い量の汚染ガスが, より深部の気道や肺に侵入する可能性が高い。 一方, 健康人志願者のオゾン暴露実験において, 運動を加えると肺機能に対するオゾンの影響が増強されており, 未だ数は少ないが, 動物実験でも同様な成績が報告されている。
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