抄録
わが国における火山起源の二酸化硫黄の放出量を推計した。1976年から1989年の期間に観測された放出量のデータを再整理し, 活動状況などに従って火山を3群に分類し, 静穏時と噴火時の年間の放出量を見積もった。推定された定常的な総放出量は概略1.1 Tg/yであり, これは最近の人為起源の放出量にほぼ匹敵する。全放出量の約3/4は, 九州と周辺の島嶼に集中しており, この地域で推定される二酸化硫黄の定常的な放出量は, 人為起源からの放出量の5倍以上に及ぶ。これらの火山のなかで最大の放出源は, 1955年以来, 活発な噴煙活動を続けている桜島である。