炭素
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学位論文紹介
ナトリウムイオン含有電解質中での黒鉛層間化合物の合成に関する研究
近藤 靖幸
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2020 年 2020 巻 291 号 p. 15-16

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抄録

黒鉛の層間には種々の化学種が挿入可能であり,黒鉛層間化合物(GIC)を形成する。GICは多くの分野に適用可能であり,電力貯蔵分野ではリチウムイオン電池負極として,また,高電気伝導性材料やグラファイトシートの前駆体としても利用されている。それらのカチオンやアニオンが挿入したGICに関してこれまで数多くの研究がなされてきたが,それぞれいまだ解決できていない課題が存在している。

例えば,化学的手法および電気化学的手法によってアルカリ金属カチオンが挿入したアルカリ金属-GICが合成可能アルカリ金属の中でナトリウムのみ高濃度にイオンが挿入した低ステージのGICの合成が困難であることが古くから知られている。反応機構としては,面内の超格子構造に関する考察や拡散速度に関する考察などがなされているが,統一的な見解には至っていない。

アニオン種も化学的手法および電気化学的手法により黒鉛へ挿入可能であり,反応性が古くから調べられている。特に硫酸-GICは詳細に研究されており,膨張黒鉛の合成手法として確立されている。しかし,電解液が強酸性水溶液であることから環境への負荷が大きく容易に廃棄できない。そこで,中性水系電解液のような低環境負荷の電解液中での有機アニオン-GIC合成手法の開発が求められる。

本論文は序論および2部構成の5章で構成されている。序論では,黒鉛層間化合物の特性やカチオンおよびアニオンの挿入反応機構に関するこれまでの研究をまとめた。第1部では黒鉛への電気化学的ナトリウムイオン挿入反応機構について,固相内拡散や界面電荷移動反応に着目し検討した。第2部では濃厚中性水系電解液中での黒鉛へのアニオン挿入反応について検討した。

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© 2020 炭素材料学会
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