2020 年 2020 巻 294 号 p. 129-130
環境負荷の低減やエネルギーの効率的な利用のため,電気二重層キャパシタ(EDLC: Electric double layer capacitor)の需要が高まっている。EDLCは二次電池と比べ,出力密度が高く長寿命である一方,エネルギー密度が小さいという課題がある。近年,炭化物由来多孔質炭素(CDC: Carbide derived porous carbon)と呼ばれる平均細孔幅が1 nm以下の多孔質炭素材料をEDLCの電極材へ適用することで,表面積当たりの容量が特異的に増加する現象が報告された。しかし,得られる蓄電性能に対して製造コストが見合わない等の理由から,CDCは商業ベースで広く使用されるに至っていない。そこで本研究では,CDCを用いるEDLCの高性能化と,CDCの安価な製造方法の確立を目的とした。本学位論文は全7章で構成される。第1章では,研究背景やEDLC電極材としてのCDCの課題と,本研究の目的を記載した。第2章から第6章は詳細な検討内容を述べた。第7章ではまとめと今後の展開について記載し,本研究を総括した。本稿では,第2章から第6章について記載する。