東北英語教育学会研究紀要
Online ISSN : 2758-5514
Print ISSN : 1346-2504
実践報告
タスク活動と明示的文法指導を取り入れたCLIL志向の授業実践—公立中学校の事例—
木下 葵鈴木 渉
著者情報
ジャーナル フリー

2024 年 44 巻 p. 25-34

詳細
抄録

本研究の目的は,中学校の外国語(英語)科において,タスク活動と明示的文法指導を取り入れたCLIL志向の教育実践が,中学生の内容理解および言語(文法)学習に与える影響を検証することである。木下・斉藤・鈴木(2024)は中学校におけるCLIL志向の授業を実施し,文法の明示的指導を組み込んだ教授法の効果を検討したが,十分な文法理解に至らなかった。その問題点として,文法練習の時間不足,ターゲット文法の強調不足,文法教授のタイミングの誤り,そしてコミュニケーション重視の授業にもかかわらず筆記文法テストのみを使用したことが挙げられた。これらの問題点を踏まえ,今回の実践授業が行われた。第一著者は中学生99人を対象に,教科書『NEW HORIZON English Course 1』(東京書籍)を使用し,50分間の授業を実施した。学習内容は時差であり,対象となる文法項目は“What time is it in -?/It is -.”であった。授業の前後に,内容理解テスト,筆記による文法テスト,口頭による文法テストを行った。結果は,内容理解テスト得点,筆記及び口頭による文法テスト得点が有意に向上した。これらの結果から,タスク活動と明示的指導を取り入れたCLIL志向の教育実践は,内容理解,筆記及び口頭の文法的正確さの向上に寄与する可能性がある。

著者関連情報
© 2024 東北英語教育学会
前の記事 次の記事
feedback
Top