天気
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1982年7月23日の九州豪雨域上空で観測された上部対流圏の様相
二宮 洸三
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2022 年 69 巻 4 号 p. 197-204

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抄録

 1982年7月23日の九州豪雨上空の上部対流圏の様相を観測データ・再解析データに基づいて調べた.21日中国大陸上で発生した梅雨前線中規模低気圧は23日に対馬海峡上に達し,低気圧暖域で持続した雲クラスター内のメソスケール対流系が九州豪雨をもたらした.豪雨域上空の200hPa面で分流(diffluence)・発散が観測された.気象衛星赤外雲画像・雲頂黒体温度(TBB)データは,豪雨域上空の−70℃のTBB低温域,その東側の弧状(三日月状)のTBB高温域,さらに外側に弧状の低温域を示した.本事例の様相を先行事例報告と比較した.これらの事例には低温TBB域,上層の発散・分流の共通点が見られたが,事例間に差異も見られた.

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© 2022 公益社団法人日本気象学会
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